にこ繭。(cocoonPのBlog)

はてなダイヤリーからインポートしたかつてのBlogの跡地です。

新年会出品動画の解説を軽くしてみるよ

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さて、一昨日書いたアイマス新年会〜27時間無礼講SP〜に出品した動画です。
……ってこれじゃおとといと出だしが全く同じだ。追記する、と書きましたが、昨日は疲れ果てて更新する気力がなく2日たってしまったので別記事にしました。

動画の紹介文にも書いてありますけれど、今回の演奏に使用した楽譜と、今回の演奏のmp3音源をhttp://tinyurl.com/aoitori-fg に置いてありますのでよろしければ持っていってください。感想なども頂けると嬉しいですし、ファゴットは勿論、低音部記号の楽器の方は演奏してくださると喜びます。

さて動画についてですが。まず、新年会の募集があったとき、枠に「音楽」があったので久しぶりに演奏してみた動画をつくろうかなと考えました。お祭りなので、普段あまりやらないことをやりたいと思ったからです。
そこで、前々から演奏してみたいと思っていた「蒼い鳥」を、ピアニート公爵のピアノに乗せよう、と考え楽譜の制作に入りました。基本はメロディの耳コピですが、間奏部の後半は耳コピしきれなかったので適当にピアノの楽譜から音を拾い、また最後のサビについては完全に創作しました。これは後述しますが意図的なものです。

映像部分は、NHKの「名曲アルバム」を研究して、フォント、テロップの配置、文字の出し方、消え方、出ている時間、段落の間隔など、そして文体や言及する範囲などについて可能な限り本物っぽく仕上げてみました。「野生のNHK」というタグをつけていただいたのは、それが伝わったものと思って非常に嬉しいことでした。また、ボーカルをすべて歌わせない設定にした千早を躍らせている蒼い鳥のノーマルPVを複数切り貼りしてM@STERの尺にしたあと、映像自体にかけている効果に派手なものは全くいれませんでしたので手を加えていないようにみえるかもしれませんが、実はかなり激しく色調補正を入れたり画面の周囲にだけブラーをかけたりなど、派手に見せるのとは反対方向のエフェクトは結構使っていて、これもNHK風の落ち着いた映像に見えるようになったのではないかと思います。蒼い鳥のダンスって、ノーマルのままだと妙にニコニコ微笑みながら歌っていて結構違和感があるんですよね。

そうやって動画全体のバックボーンを落ち着かせた上に、バックストーリーとして、今回の演奏してみたの音源がなぜ存在するのか、そして歌のみにしか興味のないアイスドールの千早がなぜそれは誤りであると気づきダンスやビジュアル面も磨きランクAアイドルになることができたのか、という自分の中での回答として、名曲アルバムでそのエピソードを紹介している文章を乗せた形にしてみました。

そもそも、ファゴットというのは、協奏曲や特徴をもった主題のソロなど、「そのために書かれた」旋律でない限り、主旋律をソロで吹いていてもそれほど映える楽器ではありません。たとえばストラヴィンスキーの「春の祭典」「火の鳥」や、リムスキー・コルサコフの「シェヘラザード」などファゴットの映えるフレーズもありはするのですが、蒼い鳥は高音ボーカルの伸びを最大限サポートするような楽曲になっているため、わりとそういうものではないんですね。しかし今回はそれを逆手に取ることにしました。

演奏のうまい下手は置いておくとして、今回の動画を見ていると序盤から間奏までの1番、2番の部分については、確かに無難にまとまってはいるが退屈だ、とお感じになるのではないかと思います。先ほども書いたように、ファゴットでは、どんなに演奏技術が高かったとしても(プロ奏者が吹いたとしても)単純に主旋律を重ねるだけでは非常に退屈な演奏になってしまうでしょう。オクターブ下げてしまうと非常に眠い旋律でできているのに加えて、テロップの文章についても非常に無難な楽曲紹介が続きます。
今回は演奏も映像も起承転結を強く意識しているので、ここまでの部分で「歌姫であるはずの千早が一切歌わずに踊っている」こと、「蒼い鳥は甘えからの脱却を意識した曲である」こと、そして「歌だけに特化した千早は輝いてはいない」ということを起、承として提示するような表現にしてみました。

そして間奏に入ったところで、なぜ千早が歌わずに踊っているのかを提示しつつ、ファゴットの得意技と言われている中低音域でのスタッカートや跳躍の頻発するフレーズで様子が一変します。「眠い演奏だな」と思った方も、ここで「おっ、意外とファゴットいいな」と思っていただけたのではないでしょうか。これも演奏のうまい下手は棚に上げるとして。もとのM@STER VERSIONファゴットパートを引っ張ったりピアノ譜の低音部などから音を拾ったりして構成していますが、劇中でのPが千早の覚醒を促すように訴えかけているかのように表現しているつもりです。

そして最後のサビにきて、うってかわってファゴットが映える対旋律を奏で始めます。それまでの単調で退屈な旋律から、異なる表現を得て覚醒する千早のイメージが重なるように演奏も「覚醒」したかのように聞こえていれば幸いです。この部分のフレーズは、まさにファゴットが吹いていて気持ちいいものになるように、そしてピアニート公爵の素晴らしい演奏と溶け合って最良に聞こえるように作りました。この部分がなければ、とても「編曲」の部分に自分の名をクレジットなどできないのですが、逆にいえばここには曲全体の価値を決定づけるほどの効果を担っていると思ったからこそ、胸を張って編曲者としてクレジットさせていただきました。当然ながらこれは元の蒼い鳥を作曲した椎名さん、クラシカルなM@STERにアレンジした塩入さん、そしてそれをみごとにピアノへトランスレーションしたピアニート侯爵と積み重なった偉大な才能があった上に少しだけ振りかけたスパイスのようなものではあるのですが。

その演奏が終わり、静かに、しかし力強く、ミッシングムーンのロゴマークである三日月(左右は反対ですが)のエンブレムが入った金の首飾りを強調するかのように、何かを掴んだ千早を映して動画はおわります。エンドテロップもやはり名曲アルバム風にしてみました。
どこまで伝わったかはわかりませんが、自分はこのようなことを今回の演奏してみたで表現してみています。動画の編集以外にもいろいろと表現する手段を広げていく、という意味では、千早だけではなく自分自身に対しても言いたいことだったのかもしれません。
お楽しみいただけましたら幸いです。


……え? CMですか?w
あれはハロPの仕業です。最初天然さんからCMをいただいたとき、「うはwwwひどいwwwでもすげえww」と思ったのですが、非常にクオリティのたかいものでしたね。おいしいところを全部持っていかれてしまった感じもありますが、それはそれで新年会のイベントとしては大成功だったと思います。時間帯的にも動画の内容的にも眠くなったところにガツンと目を覚まさせる効果もあったと思いますし。
なので、先にあのCMを流してきれいに終わるよりも、最後に台無しにするほうを選びましたが後悔していません。ハロP、素敵なCMをありがとうございました。

しかし、新年会、楽しかったですね。自分自身も、最初の動画から延長されたラストまで、ちゃんとリアルタイムにみて完走しました。IRCログから自分の発言を抜き出してみたら1600以上の発言があったのですが、28時間で1600発言ということは、割って57.14...なので1分に1度は何かしら発言していることになります。やはり、動画の提供側として参加しているみんなも楽しめるイベントであるからこそ、これほど大掛かりに盛り上がることができたのだと思います。
天然Pをはじめとする運営のみなさん各位、そして作る側見る側問わず参加されたみなさん、本当にありがとうございました、そしてお疲れ様でした。